工場の現場責任者の僕。他部署の人や、他のチームや諸先輩方が現場を見に来る。
みな現場を見る目が違う。とかく、諸先輩方がくると厄介だ。ここでいう諸先輩方とは、現在は現場とは直接関わらず、間接的に現場をアドバイスする人たちのこと。彼らが来るとアドバイスという名のダメ出しをされる。悪い点やできていない点を指摘してまわる。現場をみて散々言いっぱなす。彼らの存在を見て感じたこと。
それは、人のやる気を奪う、あなたの役割は何?ってことだ。
できていないところだけ見る人
貴重なアドバイスとは何か?
言われた側がやる気になるようなアドバイスがよいアドバイスだと思う。
悪い点を指摘するだけなら誰でもできる。悪い点は分かっている。だが、それを改善するのがなかなか進まないから困っているのである。
『ここがダメ』
『あれもダメ』
散々言いっぱなしたあげく、人のやる気を奪って、一体何をしたいのか分からない。彼らの仕事の役割は何だろう。人のやる気を奪うのが目的なのだろうか?
言われるのが嫌だから頑張るというのもモチベーションの源泉としては不健康。
できていない点だけを列挙するのではなく、できている点を褒めてあげる方がやる気になるのだが。
人のやる気を奪うのはアドバイスではない。
嫌われ役をあえてやってる?
嫌われ役をあえてやっている、なんて言う人もいる。それは、ただ嫌われてるだけだ。
それでは何の意味もない。言った方、言われた方、結果的に現場がよくなるためというベクトルが合ってるならいざしらず。言われた方のやる気を奪っても現場はよくならない。その辺りの想像力が足りないのではなかろうか。
嫌われ役を買うのなら、本来の目的が叶うように(現場が良い方向に向かうように)誘導してこそ、プロである。
指摘をすることと仕事ができることは違う
彼らは現場を指摘して回る。得意気に、気持ち良さそうに指摘してまわる。
問題を多く見つけられたら、仕事ができるとでも思っているのかもしれない。
言われる方はたまったもんじゃない。
言われる側のやる気を削ぐのが仕事なのだろうか?
指摘して回るだけでなく、現場のやる気を引き出してこそ、プロである。
問題を顕在化すること。
問題を解決するには、まず問題を顕在化することが大切だ。目に見えないものには対処できない。
同じ現場を長く受け持つと問題が見えなくなることは確かにある。目が馴れてしまうのだ。
もうひとつ問題が顕在化しない理由として、現場責任者が問題を見る目が育っていないことがある。目には入ってくるが、問題として認識できないのだ。これらの場合、ご指摘はありがたいものになる。
だが、多くの場合現場の責任者は問題を見つける目はすでに持っている。困っているのはそこではない。
本当に顕在化しなきゃいけないのは、なぜ分かっている問題が改善されずに放置されているのか?、という点だ。
問題のレベルが高く、すぐには解決ができないものもある。
だが、ほとんどの場合、現場が忙しく手が回っていないだけだ。
『忙しい』『手を貸して欲しい』
この本当の困りごとを顕在化せず、言われっぱなしにすれば、人のやる気なんて一瞬でなくなっていく。
目に見える現象だけを指摘して回る彼ら。本当の問題は人の心にある。それが見えていない。顕在化できていない。
やるべきは現場に寄り添って、人の声を聞くことなのである。
そして、悩み事や困りごとを一緒になって考えて解決策を模索し、
やる気を引き出してこそプロである。
活力ある現場が、現場によって維持され、さらに改善されていく。
そんな現場に成長させてこそプロである。
それでは、また明日!